介護施設の稼働率を上げる営業戦略|デジタル活用と地域連携の実践例

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〜現場負担を減らしながら“選ばれる施設”になる〜

介護施設の経営において「稼働率」は生命線です。

しかし、「見学は多いのに契約に至らない」「紹介が減っている」「現場が疲弊して営業に手が回らない」など、課題を抱える施設も少なくありません。

本記事では、現場負担を減らしながら稼働率を安定させるための、営業戦略と地域連携のポイントを整理します。
アナログな信頼構築に加え、デジタル戦略・職員定着の視点も交えて解説します。

稼働率を上げるための基本視点:「数字」よりも「信頼」をつくる

稼働率向上というと「契約件数を増やす」と考えがちですが、実際は地域からの“信頼”が結果として稼働率を安定させるという順序です。

営業の目的は「売り込む」ことではなく、

  • 地域の支援者(ケアマネ・包括・病院)に“紹介したい施設”と思ってもらうこと
  • 家族に“安心して任せられる”と感じてもらうこと

この2点を意識することで、自然と紹介・契約の流れが生まれます。


効果的な営業戦略の立て方

(1)ターゲットと専門性を明確にする

まず、「どんな利用者に選ばれたい施設か」を明確にしましょう。

  • 医療依存度が高い方
  • リハビリ重視の方
  • 認知症ケアを求める方

ターゲットを明確にすることで、どの紹介元に重点を置くべきかが見えてきます(例:病院・居宅介護支援事業所・地域包括など)。

制度と連携した専門性の打ち出しも重要です。

看取り・特化リハビリ・認知症ケアなど、加算取得状況や専門職の配置を明確に打ち出しましょう。

ケアマネや病院は、「施設が制度上の専門性をクリアしているか」を重視します。

(2)見学から契約までの導線を整える

ホームページやパンフレットを点検し、「伝えたいことが利用者・家族に伝わっているか」を確認しましょう。

特に重要なのは次の3点です:

  • 施設の雰囲気(写真・動画・スタッフ紹介)
  • 料金・医療対応の明確化
  • 問い合わせ・見学予約の導線

これらが整理されている施設は、比較検討の最終候補に残りやすくなります。

(3) デジタルツールを駆使した「認知」と「集客」と「効果測定」

多くの家族はまずインターネット検索から施設を探します。

WebサイトやSNSを「介護の専門家」としての発信の場に変えましょう。

  • ブログで「介護の専門知識」や「在宅介護のヒント」を発信
  • リハビリ職や看護師が短い動画で施設の特徴を紹介
  • Googleビジネスプロフィールで写真・口コミを定期更新

これにより、オンライン上で「信頼できそうな施設」という第一印象を作れます。

【効果測定の徹底が大切】

Webサイトへの流入経路を分析し、「どの情報発信が最も見学に繋がっているか」を把握します。

見学・問い合わせ時には「何を見て知ったか?」をヒアリングし、改善に活かしましょう。

また、営業現場ではツール活用による負担軽減も重要です。

スプレッドシートやCRMを活用して紹介元や見込みを共有することで、

  • 情報漏れが防げる
  • 担当交代時の引き継ぎがスムーズ
  • 現場が“数字集めに追われる”負担を減らせる

効率的にチーム営業を実現できます。

営業活動の効率化の観点から、デジタルツールを活用した問い合わせを強化することで、アナログな訪問営業の比重を下げ、質の高い商談にリソースを集中させることが可能になります。

(4) 営業対応は「スピード×誠実さ」

問い合わせから24時間以内の返信を心がけるだけでも印象は大きく変わります。

見学時には「説明」よりも「家族の不安を聴く」姿勢を重視しましょう。

スピード対応と誠実さの両立が、紹介や口コミを生みます。


地域連携を強化する3つのコツ

(1) 病院・ケアマネとの信頼関係を築く

紹介を得る最大の要は「顔が見える関係」です。

月1回でも構わないので、近隣の居宅や病院を訪問し近況共有を行いましょう。

「いつも来てくれるあの人」という信頼の積み重ねが紹介につながります。

専門加算の取得状況や医療対応可能な範囲を、制度上の優位性として伝えると効果的です。

(2) 地域包括支援センターと連携する

包括は地域の中核機関。相談会や地域イベントへの積極的に協力参加をし、「地域で頼りにされる施設」として存在感を高めましょう。

(3) 地域住民との接点を増やす

介護教室・防災イベント・地域サロンなどへの協力も有効です。

地域住民が「困ったときに思い出す施設」になることが、長期的な稼働率安定につながります。


稼働率を支える「職員定着」の視点と成功事例

(1) 営業戦略と連動した職員定着策

「人が辞めない仕組み」こそ、最大の営業戦略です。

稼働率を支えるのは「契約数」ではなく、「安定して質の高いケアを提供できるチーム」です。

営業と人事・現場マネジメントを切り離さず、“職員定着を軸にした経営戦略”を立てましょう。

「仕組み」として職員が続く体制づくり

属人的な「頑張り」ではなく、制度と仕組みで職員を支えることが大切です。

  • キャリアパス制度を整え、努力が評価・昇給につながる仕組みを明文化する
  • 介護職員処遇改善加算を活用し、経験・資格に応じた報酬を設計
  • 柔軟な勤務形態(短時間勤務・フレックス)を導入し、ライフステージに合わせた働き方を可能にする
  • 情報共有ツール(例:LINE WORKS、カイポケ連携、スプレッドシート)で 引き継ぎ・申し送りをスムーズにし、ストレスを軽減する

これらの体制整備が間接的に「営業しやすい環境」をつくります。
離職による新人教育の負担や対応品質のブレが減り、安定したサービス提供ができるからです。

現場からの“誇り”が地域信頼を生む

もう一つの柱がインナーブランディングです。

「自分たちの施設は地域に貢献している」と職員が実感できる場を意図的に設けましょう。

  • 地域イベント・介護教室への職員参加
  • 施設ニュースやSNSで「現場の声」を発信
  • 月1回の全体ミーティングで「地域とのつながり」を共有

これにより、職員が施設を「自分の誇り」として語れるようになります。

その姿勢こそが、外部から見た「信頼できる施設」の最大の証となり、職員定着 → サービス品質維持 → 稼働率安定の好循環を生み出します。

(2) 成功事例:営業と現場の“分業+共有”が鍵

全国の特養施設では、令和3年度時点での利用率(稼働率)が概ね 94.0%という水準にあります。

都市部の東京都特養では平均 93.3% を記録しており、これは地域間でも高い稼働率を示す指標の一つになっています。

稼働率の低い施設はこの公的平均水準を目指し、営業戦略を改善する必要があります。

一方で、業界コンサルティング事例では稼働率が平均水準未満だった施設が営業担当と介護現場を分業し、クラウドツールによる情報共有を徹底する戦略を採用しました。その後、改善に至った例が多数報告されています。

その結果、以下のような具体的な業務効率の改善が確認されています。

  • 見学対応時間の短縮: 営業と現場の情報共有により、事前の空き状況確認や書類準備の手間がなくなり、対応時間が大幅に短縮
  • 稼働率の改善: 見込み客への追客が漏れなく行えるようになり、稼働率が平均水準(約95%)まで安定
  • 現場の業務負担軽減: 情報共有や記録業務のデジタル化により、残業時間が月あたり10〜20時間削減されるケースが報告されている。

この成果を単なる時間削減と捉えるのではなく、職員定着率の向上サービス品質の維持・向上が伴うことが重要です。

残業を減らしたことで職員に「余裕」ができ、新人育成・OJT・利用者とのコミュニケーション時間が確保され、家族・紹介元からの評価も高まりました。

結果として、「紹介 → 契約 → 定着 → 信頼」という好循環が創出され、高稼働率と内部安定を両立できたというストーリー構成が可能です。


まとめ ”属人的な努力より「仕組み」と「信頼」で稼働率を上げる”

  • アナログ管理では追客漏れ・情報ロスが発生する
  • ツール活用で「誰でも同じ対応」ができる体制を整える
  • デジタル戦略は流入経路の効果測定まで徹底
  • 地域連携は「信頼の積み重ね」と「専門性の明確なアピール」が鍵
  • 職員定着とサービス品質維持が、稼働率安定の最大要因

稼働率アップの本質は、「営業力」や「広告費」ではありません。

“人が辞めない仕組み”こそ、最大の営業戦略です。

現場・営業・地域が一体となり、「人にも地域にも選ばれる施設」へ育てていきましょう。

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